金融円滑法は、平成25年3月に終了しました。平成25年3月以降金融監督庁から金融機関に対して、返済猶予企業の仕分け指示が出て次のように区分されているようです。
①返済猶予を継続する企業
②返済猶予を継続しない企業
金融機関が、貸し付け条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑法の期限到来後においても何ら変わらないことになっています。但し、個々の借り手が経営改善にどのように取り組んでいるのか、検査・監督に今まで以上注視するようになります。経営改善の努力を金融機関に示さないと②返済猶予を継続しない企業になる恐れもあります。
急いで次のような対応をしなければなりません。
①経営改善計画書を作成していない場合は至急作成する。
②計画書の進捗状況を報告書として書面で提出する。
③経営者自ら銀行支店長、担当者と面談してコミュニケーションをとる。
上記の対応については、売上改善策・収益改善策を立案しなければならない。
仮に返済猶予を継続しない企業となった場合
次の返済猶予(条件変更)には応じない
↓
当初の約定(返済額)での返済を要求される
↓
借入返済不能
↓
債務整理・自主廃業を提案される(金融監督庁 監督指針)
となることもありますので、しっかりした対応が必要になります。
「返済猶予を継続」見直しの背景
当初の借入元金が返済出来ない場合、「金融円滑法」により、元金の返済据え置き・減額を申請しますが、この期間は半年から1年になっています。多くの企業が返済猶予継続を繰り返しているのが、実状で信金等で7割、地銀で5割位あるといわれています。
そして信用保証制度の債務超過割合は、平成18年度は約31パーセントでありましたが、平成22年度には約40パーセントに増大しています。また、中小企業向け保証請負の焦げ付きのうち「全額保証」が平成23年度の実績で7割を占めているとの報道(平成24年6月12日付日本経済新聞)もあり、政府も信用保証制度自体を見直さなければならない時期であることを気づき始めたようです。
「出口戦略」
「出口戦略」とは、軍事的もしくは経済的な損害が続く状況から損失・被害を最小限にして撤退する戦略であります。
「出口戦略」の語源
出口戦略(exit strategy)という用語はベトナム戦争時にアメリカ国防総省内で使用されたのが始まりです。その後も、敗勢あるいは損害が甚大な状況下でいかに人命や物資の損失を最小限にして軍を撤退させる検討や実施に対して出口戦略という用語が用いられています。
「中小企業金融円滑法」の終了に向けて、「中小企業経営力強化支援法」が平成24年8月30日に施行されました。これは、中小企業が安心して経営相談等が受けられるように、専門的知識や実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定して、公的な支援機関として位置づけます。そして経営革新等支援機関に金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等を認定して、チームとして専門性の高い支援事業を行います。
中小企業庁ホームページから抜粋すると税理士の専門分野としての相談業務と支援を受ける効果については、次のようになっています。
(1) 税理士の専門分野としての相談業務
①自社の経営を「見える化」したい
企業に密着した、きめ細かな経営相談から、財務状況、財務>内容、経営状況に関する調査・分析を
行います。
②事業計画を作りたい
経営状況の分析から、事業計画等の策定・実行支援を行います。また、進捗状況の管理、フォローア
ップを行い、中小企業の経営支援の充実を行います。
③金融機関と良好な関係を作りたい
計算書類の信頼性を向上させ、資金調達力の強化に繋げます。
(2) 経営革新等支援機関の支援を受けることによって期待される効果
①経営状況が明確化する。
②金融機関からの信用度が上がり、資金調達が受けやすくなる。
③自社の目標とその目標までの過程が明確し、社員の意識が向上する。
④経営革新等支援機関の支援を受け、事業計画の実行と進捗の報告を行うことを前提に、信用保証
協会の保証料が減額(▲0.2%)されます。
(3)経営革新等支援機関向け諸施策
①ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金
補助金 補助上限額 1000万円 補助率2/3
②地域需要創造型等起業・創業促進補助金
補助金 補助上限額 200~700万円 補助率2/3
③小規模事業者活性化補助金
補助金 補助上限額 200万円 補助率2/3
(4)経営革新等支援機関による支援
①商業・サービス業・農林水産業活性化税制 (経営革新等支援機関の活用を促進する優遇税制)
②経営改善支援
③資金繰り支援
他にも色々あります。詳細については、中小企業庁のホームページかリーフレットをご覧下さい。